個の時代へ。ジャニーズ新事務所のエージェント契約で生き残るグループとは?

創業者の性加害問題をめぐり、解体を決めたジャニーズ事務所。所属タレントは、新設されるマネジメント会社とエージェント契約を結ぶことになります。

2度目の会見時にはで、従来のジャニーズすは10月17日付で社名を「SMILE-UP.」に変更し、被害者の救済、補償に特化し、補償終了後に廃業すると言います。新会社の名称はファンクラブで公募し、社長には東山紀之氏、副社長に井ノ原快彦氏が就く予定です。

エージェント契約について「タレント自らが活動の方向性に応じて自分自身で活躍の場を広げていくことになります。プロデュース機能やマネジメント機能を活用し最大限サポートする」と説明しているものの、所属タレントの間では未だ不確定要素が多く、混乱や不安に感じているタレントも多いようです。

エージェント契約は仕事の選択などで自由度が高くなる一方、タレントの才覚も求められ、事務所の庇護下に置かれなくなるというデメリットもあるのです。

これまで与えられたことをやるだけだったタレントには厳しい環境となりそうです。

そこで、今回はそもそもエージェント契約とは何か?それぞれのメリット&デメリットについて、そして、生き残るグループはどのグループなのかについて推察してみました。

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タレントの契約形態とは?

契約社会であるアメリカとは違い、まだまだ日本では当事者でもイマイチ内容を把握していないのが契約書の内容です。
本来であれば、自分自身が所属する会社とどんな内容で契約を結んでいるのかしっかりと把握する必要があると思います。

エンターテイメントの世界で活躍、活動する方たちは、大きく以下の3つの形態で契約し活動を行なっています。

①マネジメント契約
②エージェント契約
③独立

それぞれ、どういったものか紹介していきます。

マネジメント契約」 「エージェント契約」 「独立」について

①マネジメント契約とは?

日本の多くの芸能事務所が採用している方式で、営業、ギャラ交渉・契約・スケジュール管理・トラブル対応など、タレント活動するにあたって一通りのことを全てを「芸能事務所」が行なってくれるシステムです。

タレントは「芸能活動」にだけ集中できるので一見「恵まれたシステム」に思えますが、仕事を獲得する為に動いてくれる事務所とギャランティを配分する為、「ギャラ(報酬)」は減り、また仕事も自由に選べないというデメリットがある。
(人気芸能人の場合は、マネージャーと相談して仕事を選ぶことが可能)

イメージとしては「一般企業の契約社員」的な立ち位置で、定められた期間ごとに契約を更新する必要があり、力関係でいうと事務所側(会社側)が上になる。
②エージェント契約

「営業」や「ギャラ交渉」など「仕事を取ってくる業務」だけを芸能事務所が代行してくれるシステムで、その他のマネジメント業務は全て「自分」で行ない、自分自身で責任を持つことになる。
スケジュール管理も、現場への移動も、トラブル対応も、基本的に芸能事務所は面倒を見てくれない。自己裁量で活動しやすい自由度の高さと事務所の安心感を併せ持っている契約方法である。

完全な「個人事業主」となり、芸能事務所側からすると、タレントは「クライアント(顧客)」になるので力関係も対等。
ギャラ(出演料)は、タレントと事務所が分け合うのではなく、「タレントが事務所に手数料(報酬)を支払う」形になる。

海外のハリウッド俳優はエージェント契約が多いようです。

エージェント契約とマネジメント契約は、どちらも芸能事務所と結んでいきます。

ただしエージェント契約の場合は、営業やギャラ交渉などは事務所側が行い、自己プロデュースなどは契約者自身が行わなければなりません。 例えば、ヘアメイクをしてもらうスタイリストも自分で契約する必要があります。

③独立

事務所から独立して、自身で会社を設立して活動する。

個人事務所と呼ばれたりもしますが、いわゆる有名人で、個人訴求力のある人に多く、営業マネージャーや経理関連スタッフを雇い、自身はプレイヤー・経営者と2つの顔を持つ。

それぞれのメリットとデメリットとは?

ここでは「マネジメント契約」「エージェント契約」の2つのメリットとデメリットについてまとめます。
それぞれにメリット、デメリットがあるので、一概に優劣はつけられませんが、その良し悪しは個人の性格や考え方次第にもよるようです。

マネジメント契約のメリット

・営業からギャラ・契約交渉、入金の確認まで行なってくれる
・会社及び担当マネージャーがスケジュールの管理を行なってくれる
・トラブルに対応してくれる

マネジメント契約のデメリット

・仕事中心のスケジュールになる為、自由に調整しづらい
・ギャラを配分する為、取り分は少なくなる

エージェント契約のメリット

マネジメント契約に比べ事務所の関与する範囲が少なくなるため、貰えるギャラが増加します。
またスケジュール管理を自分で行うため、他の仕事との両立自分の希望する仕事を選びながら芸能活動を進めていくことも可能です。

・仕事を自由に選ぶことができる
・スケジュールを自由に調整できる
・ギャラの取り分の調整ができる(ギャラの取り分が大きい)

エージェント契約のデメリット

事務所の力を完全に借りられないため、実力が重視されることになります。
マネジメント能力が問われ、何かトラブルがあっても自己責任で解決していかなければなりません。

・営業や交渉など、自分自身で行う業務が発生する
・トラブルが発生した際の対応や事後処理は全て自己責任(スキャンダルから守られない)

・タレントのプライベートまでは管理しない

自己管理に自信のない方や苦手な人は「マネジメント契約」

自己プロデュースが得意で、スケジュール等の管理ができる人であれば「エージェント契約」

が良いかもしれません。

ある程度の実績や知名度が必要になるのもエージェント契約の為、事務所の看板や事務所からの後押しを受けられる利益とデメリットをよく吟味することが必要になるかもしれません。

Tomoちん
Tomoちん

ジャニーズのタレントはこれまで恋愛などのスキャンダルがあった時、常套文句である『事務所を通してください』が通用しなくなりそうです。

事務所のスタッフがメディア対応してきたことで守られてきましたのです。しかし、今後は自分のことは自分の口で説明したり、弁明したり、世間にさらされるということを自覚しなければならないのかもしれませんね。

マネジメント契約」と「エージェント契約」どっちがいいの?

マネジメント契約とエージェント契約には、それぞれに「メリット」と「デメリット」があります。

自己管理に自信のない方や苦手な人、お金にそれほど執着がなく、面倒くさいことが嫌いな人なら「マネジメント契約」、自分でスケジュール管理や自己プロデュースができて、もっと大金を稼ぎたい人なら「エージェント契約」がいいでしょう。

売れっ子芸能人が「エージェント契約」を選ぶ理由には様々な事情がありますが、やはりギャラの占める割合が大きいようです。たとえ自分で「付き人」「運転手」「ヘアメイク」を雇ったとしても、お釣りが返ってくるほど収入は良いからです。


また、知名度があれば、エージェント(事務所)を通さず個別で仕事を獲得することもできるため、有名人がエージェント契約を結ぶメリットは高いと言えます。

エージェント契約が向いている人とは?

エージェント契約に向いているのは、自己裁量で仕事を進めて好きなことをしていきたい人、お金を稼ぎたい人に向いています。

YouTubeやInstagramなどSNSで発信して知名度が得られれば事務所が管理しない分、エージェント契約の方が収入面では有利といえるでしょう。


また自己責任といっても、エージェント契約は完全に独立した個人ではありません。

日本では発展途上であるものの、営業やギャラ交渉においては事務所の力を頼れるため、自由度と安定の両方を求める人向けといえるでしょう。


「個」の時代と言われる中、今後こういった契約の形は増えていくのではないかと思われます。

日本の芸能界におけるエージェント契約の前例は?

「新しい地図」「吉本興業」「avex」はエージェント制を導入しています。

このエージェント契約を2019年、先駆け的に導入したのが、お笑い界のトップに君臨する「吉本興業」です。導入したキッカケは、宮迫博之氏と田村亮氏の「直営業(闇営業)問題」が原因。


元々「所属タレント」と契約書を交わさないことで有名だった吉本興業は、これを機に「専属マネジメント契約」と「専属エージェント契約」を用意しました。しかし、全てのタレントが「マネジメント契約」か「エージェント契約」かを自由に選択できる訳ではなく、吉本芸人の大半は「マネジメント契約」となっています。


吉本芸人で「エージェント契約」を結んでいる有名人は下記の通りです。

・近藤春菜(ハリセンボン)
・友近
・たむらけんじ
・川原克己(天竺鼠)
・バッファロー吾郎A

会見を受けて、所属タレントの反応は?

YouTubeチャンネル“ジャにのちゃんねる”は「【ご報告!!】現状がわかんなすぎて皆で話し合った日」と題した動画を公開。

二宮和也さん、中丸雄一さん、山田涼介さん、菊池風磨さんが揃って出演。二宮和也さんは、「関ジャニ∞」や「ジャニーズWEST」が名称変更に向けて動いている点に触れ、チャンネル名を変更することを報告。その上で、メンバーの去就が決まるまでは「不確定要素がすごく多い」と話し、活動休止することを発表しました

2度目の会見終了から2時間後に元V6の岡田准一さんが11月末をもって退所すると発表した。岡田凖一さんはエージェント契約を結ばなかったので、同様の形で事務所を離れるタレントも出てくると思われます。

堂本光一さんは10月8日、主演ミュージカルの開幕を前に報道陣の取材に応え、以下のように答えています。

「まず一歩進んだところで、『こうするよ』という明言はまだできない。(堂本)剛くんと一緒に話し合わないといけないし」また、喜多川氏が命名したKinKi Kidsというユニット名に関しては、「『変えてもいいんじゃないか』というところまで出ました」と改名についても堂本剛と相談したと明かしつつ「音楽活動をしているグループとしては(事務所内で)我々が一番上。我々が変えてしまうとみんなも考えないといけないので、慎重にやらなければ、と剛くんと話してます」

音楽ナタリー

今後の契約形態に関して複雑な心中を告白するとともに、後輩の影響の考えて苦慮している様子が伝わってきました。

ジャニーズのトップタレントの一角である彼らでさえ、状況の把握に混迷しており、不安である様子が伺えますね。

所属していたタレントは、巨大な後ろ楯がなくなるのですから、今後は本人のタレント性が試されていくのでしょう。つまりタレントの実力主義になりそうです。多くのタレントの中で埋もれてしまう人も出てくるでしょう…。

エージェント契約で、生き残りそうなグループはどこ?

エージェント契約はタレントにとっても、より厳しい状態になると予想する声がネット上では多く上がっています。

ジャニーズの新事務所がエージェント契約になった場合、生き残れそうなグループは以下の3つが挙げられます。

《人気の高いグループ》
既に人気のあるグループは、ファンの支持基盤が厚いため、エージェント契約になってもファンの支持が厚く強さを発揮し続けるでしょう。

具体的には?
KinKi Kids、嵐、関ジャニ∞、King & Prince、SixTONES、Snow Man

これまでに多くのヒット曲やドラマ、映画をリリースしており、多くのファンを獲得しています。また、メンバー個人の知名度や人気も高いため、エージェント契約になっても、テレビや雑誌などの露出はそのままに、さらなる人気を獲得していくことが期待できます。


《個性的なグループ》
個性的なグループは、エージェント契約になったことで、これまで以上に自由に活動できるようになり、新たなファン層を獲得していくことが期待できます。

具体的には?
A.B.C-Z、Kis-My-Ft2、Japan、HiHi Jets、美 少年、Aぇ! groupなど

メンバーの個性が強く、これまでのジャニーズとは異なる魅力を持っています。エージェント契約になったことで、これまでに縛られていた部分を解放し、新たな魅力を発揮できるようになるでしょう。

ただし、デビュー前のグループについては未知数です。


《実力派ベテラングループ》
実力派グループは、キャリアがあって、全員それぞれ充分に実績があります。エージェント契約になったことで、より自由な形で音楽やパフォーマンスを追求できるようになり、新たな可能性を切り開いていくことが期待できます。

具体的には?
KAT-TUN、Hey!Say!JUMP、Sexy Zone、NEWS、ジャニーズWESTなど
個人だと生田斗真さん、風間俊介さん。

メンバーの歌唱力やダンススキルが高く、音楽やパフォーマンスに対する高い意識を持っています。エージェント契約になったことで、これまで以上に自由に音楽やパフォーマンスに取り組むことができるようになるでしょう。

命令に従うだけの従順な“駒”では実力主義では生き残れない 。

グループの場合は、メンバー間で方向性を決め、足並みを揃えることが求められ、さらにセルフプロデュース力がなければ生き残りは厳しくなることが予想されます。グループのカラーが明確化しており、メンバー全員方向性が同じであることは言うまでもありません。

グループ内に「経営者気質」もしくは「裏方気質」のある人がいることも重要なポイントです!

育ててもらう、売り出してもらうという受け身の姿勢や視点でしか芸能活動を行なってきていない旧ジャニーズタレントたちにとっては、自身での営業も視野に入れながらの活動はかなり厳しいものになりそうです。

創業者である故ジャニー喜多川氏と姉の故メリー喜多川氏は、自分たちの指示に従う従順な駒になるタレントを好んだと言われます。だからこそエージェント契約になった時に、生き残れるタレント、生き残りが難しいタレントの2極化していきそうな様相を呈しています。

平野紫耀にあってキムタクにないもの…

「TOBE」に移籍した平野紫耀さんは元々、名古屋のご当地ボーイズグループに所属していましたが、ジャニー氏に才能を見込まれて関西ジャニーズJr.として活動を始めたという経緯があります。

平野さんが状況に合わせて自分に合った環境を選べるのは、自らを自らで売り出すという視点が育っていたからだと思います。

そういう忖度なしで行動ができる決断力や『どこで事務所を抜けるべきか』などの目利き力やタイミングの見極めは、芸能界を生き残る上で必要な能力といえるでしょう。

一方、ジャニーズ新会社とエージェント契約する方針が伝えられた木村拓哉さん。

エージェント契約になって“後ろ盾”がなくなった時、木村拓哉さんの本当の実力と人望が試されるのは間違いないでしょう。

木村拓哉さんのようにこれまでジャニーズ事務所の手厚いサポートを受けてきたタレントたちは、エージェント契約になって戸惑うこともあるでしょう。 圧倒的な権力を誇った、ジャニーズという後ろ盾はもう通用しない。更なる実力主義の中で淘汰される人が続出するかもしれないません。

もちろん、エージェント契約になったからといって、必ずしも成功するわけではありません。しかし、エージェント契約によって、さらなる成長や活躍が期待できるとも言えるでしょう。

まとめ

今回はエージェント契約とは何か?エージェント契約のメリット&デメリットは何か?そして、生き残るグループはどのグループなのかについて推察してみました。

「マネジメント契約」と「エージェント契約」の違いを解説しましたが、どちらにも「メリット」と「デメリット」があります。そのため、一概に「どちらが良い」とは言えず、そのタレントの「知名度」や「実力」次第だと言えるでしょう。

しかし、事務所に所属している方が「事務所のプッシュ」を受けられることは間違いありません。日本の芸能界では、未だに「大手芸能事務所」がもたらす影響力は大きく、「吉本興業」や「ジャニーズ事務所」といった看板の力は強いのが現状です。

果たして、今後のジャニーズ事務所はどのように生まれ変わり、変化していくのでしょうか。

個性そのものがキャラクターとなり、さまざまなジャンルと活躍のステージが存在するのがエンターテイメント業界ですが、タレント自身が幅広い自由な選択ができる未来があると期待します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。