ミセス新曲「コロンブス」が炎上した理由10つ!何がダメだったのか徹底解説

3人組ロックバンドのMrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)が6月12日に公開した新曲『コロンブス』のミュージックビデオ(MV)に批判が相次ぎ、翌日13日には公開停止となりました。

公開停止の理由は、『コロンブス』のMVの内容に「歴史や文化的な背景への理解に欠ける表現があったから」ということでした。

また、所属レコード会社であるユニバーサルミュージック合同会社とMrs. GREEN APPLEのボーカル・大森元貴(おおもりもとき)さんが謝罪するも、まだまだこの問題は大きな広がりを見せそうな気配です。

本来であれば、日本コカ・コーラ社のCoke STUDIOキャンペーンソングとして、この夏大いに盛り上がるはずであっただろう曲が、バンドメンバーにとっても、ファンにとっても、苦い曲になってしまいました。

そこで、今回はMrs. GREEN APPLEの新曲『コロンブス』が炎上した理由について、一体、何がイケなかったのか分かりやすく解説していきたいと思います。

スポンサーリンク

ミセス新曲『コロンブス』炎上の経緯

まずは、Mrs. GREEN APPLEの新曲『コロンブス』が炎上してしまった経緯についてまとめてみます。

『コロンブス』炎上の経緯まとめ

2024年6月12日
11th配信シングル『コロンブス』がリリース

2024年6月12日21時
『コロンブス』のMV解禁
MV公開後、批判のコメントが殺到

2024年6月13日お昼過ぎ

レコード会社のユニバーサルミュージック合同会社
所属レーベルEMI Records
所属事務所Project-MGA
公式サイトなどでニュースリリースを連名で発表

2024年6月13日14時半頃
『コロンブス』のMV公開停止

2024年6月13日17時頃
Mrs. GREEN APPLEの大森元貴による謝罪コメント公開
コカ・コーラ社は『コロンブス』が使われている全ての広告素材を停止

公開中止に際して、レーベルと事務所でMVを制作したと説明し、謝罪を行いました。

新曲『コロンブス』のMVの内容とは?

『コロンブス』のMVでは、メンバーがそれぞれコロンブス、ナポレオン、ベートーヴェンにに扮し、類人猿がパーティーをしている家を訪れ、ピアノの弾き方を教えたり、人力車を引かせたり、乗馬を教えたり、類人猿が出演する悲『MONKEY ATTACK』を観賞したり、ともに「コロンブスの卵」を立てようとしたり。

そしてパーティーを終えた後、眠る類人猿を横目に、3人はまた次の場所へ向かう……といった構成でした。

メンバーは歴史上の人物にそれぞれ扮しています。

  • 大森元貴(おおもりもとき)⇒クリストファー・コロンブス
  • 若井滉斗(わかいひろと)⇒ナポレオン
  • 藤澤涼架(ふじさわりょうか)⇒ベートーヴェン
MVの意図やテーマは

「もしも生きた時代の異なる偉人たちが一緒に旅をしたら?

「道中で500万年以上もの時を越えて出くわした類人猿たちとのホーム・パーティー」

なぜミセス新曲「コロンブス」は炎上した?炎上の理由10つ

ミセス新曲「コロンブス」が炎上した理由10つ

①「コロンブス」を“ポジティブ”なキーワードとして扱った
②コロンブスが奴隷商人で植民地を支配していたから
③先住民を類人猿扱いしているのではないか
類人猿を調教しているように見える
⑤人力車のシーンが奴隷労働を彷彿させる
⑥人力車を引いているのが黒い類人猿
⑦コカ・コーラとのタイアップ曲であった
⑧MVの監督が大森元貴であった
⑨コカ・コーラ社の対応が無責任
⑩差別要素があると言えない・気付かない体制

では、1つずつ詳しく見ていきたいと思います。

炎上理由①「コロンブス」を“ポジティブ”なキーワードとして扱った

新大陸発見という歴史に名を馳せるイタリアの探検家であるクリストファー・コロンブスですが、近年は「先住民の虐殺者」「黒人奴隷貿易への関与」などとして批判を集めるようになっています。

私が小さい頃(30年以上前になりますが…)、読んだ偉人シリーズの本の中で描かれるコロンブス、『アメリカ大陸を最初に発見した人』というさも偉人として高い名声を得ていたという記憶しかなく、今回の騒動が起こるまでは同じようなイメージを抱く方も多かったのではないでしょうか。

しかし、近年ではその評価は賛否両論となっているのです。

アメリカ大陸はコロンブスに「発見」される前から先住民が暮らしていました。

そして、先住民にとってコロンブスは多くの仲間の命が奪われた悪の根源でしかありません。  

歴史には表と裏の二面性があるということですね。

実際、これまで「コロンブスデー」とされてきた10月12日の祝日は、州によっては「先住民の日」に変更されたり、2020年にアメリカで起きた白人警官の暴力による黒人男性死亡事件以降、世界各地でコロンブス像が破壊されるデモが頻発しているのはその表れのでしょう。

今回の問題の本質は、『コロンブス』という人物をポジティブキーワードで扱った点にあり、Mrs. GREEN APPLEの新曲『コロンブス』のMVがアメリカ大陸を発見したコロンブスを(意図せずとも)賛美しているかのように囚われてしまったことです。

近年評価が一変した「コロンブス」

Mrs. GREEN APPLEの新曲『コロンブス』のMVが炎上、公開停止を余儀なくされた件の裏側で、Xでは80年代のアイドルグループ光GENJIの「パラダイス銀河」の話題で盛り上がっていたのです。

「パラダイス銀河」は、1988年にリリースされた「光GENJI」の3枚目のシングル。

曲の中に「大人には見えない しゃかりきコロンブス」という印象的な歌詞があるのです。

もちろん、この「コロンブス」とは「クリストファー・コロンブス」のことだと思われます。

この発表だけを見るとコカ・コーラ社は、

かつては偉大な航海者として評価されたコロンブスですが、近年は、「奴隷犯罪」「植民地主義者」という側面が知られ、問題視されるようになっています。

しかし!

「パラダイス銀河」がリリースされた1988年当時はこうした面が十分に知られていなかった為、特に問題視されなかったのでしょう。

「しゃかりきコロンブス」の意味とは?

「パラダイス銀河」がヒットした時代、ど真ん中世代の筆者ですが、改めて「しゃかりきコロンブス」とはなんぞや?と今回の事件をきっかけに気になって調べてみました。

実は「パラダイス銀河」の作詞・作曲者であるASKAさんが、自身のブログで過去に次のように語られています。

「パラダイス銀河」は「子供だけが見える景色」を歌っています。

「大人は見えない しゃかりきコロンブス」つまり、

「しゃかりきになって探したって、コロンブスさえも発見することができない夢の島(子供の場所)」

僕は、それを歌詞にする時に「しゃかりきコロンブス」と表現しました。

ASKA_burnishstone’s diary 2019年10月3日

つまり、「コロンブス」という単語を使いつつも、決して礼賛や称賛するわけでなく、あくまでも光GENJIのための楽曲として表現したASKAさん。

もしかすると、ASKAさんは当時からこうした歴史的背景を理解していたのかもしれませんね。

炎上理由②コロンブスが奴隷商人で植民地を支配していたから

宗教的に「家畜」「人間」の線引きを明確に引いていたヨーロッパ人は、アメリカ大陸の先住民を「家畜」側に置き、そもそも人間扱いをしてきませんでした。

コロンブスも同様の考えを持っており、抵抗する原住民に対し「略奪・虐殺」を行ったうえで、奴隷として連れ帰っていたと現在では考えられています。

こういったコロンブスの「奴隷商人」「植民地主義者」というもう一つの側面が、批判の的になっているようです。

では、このような歴史的背景があった中で、MVのどのような部分がこの「思想」や「侵略」を想起させたのかを具体的に見ていきたいと考えます。

炎上理由③先住民を類人猿扱いしているのではないか

MVでは「500万年以上もの時を越えて出くわした類人猿たちとのホーム・パーティー」というあくまでの架空の物語であることが説明されていますが、「類人猿と先住民とを重ねているのでは」と受け取りかねないという声が上がりました。

ホームパーティーに参加しているのは猿の着ぐるみを着た類人猿役の出演者たち。

一方、ンバーがコロンブス、ナポレオン、ベートーヴェンに扮したメンバーは、身に付けている衣装や小物から近世ヨーロッパの大航海時代を思わせます。

また、途中出てくる「双眼鏡」や「地球儀」などの道具類も大航海時代を彷彿させますね。

先住民を「類人猿」と例えているという意図は無くても、大航海時代のヨーロッパ人がアメリカ大陸の先住民を人間扱いをしていない描写が、まるで先住民を類人猿と揶揄しているように捉えられてしまったようです。

炎上理由④類人猿を調教しているように見える

MVの中では、猿の着ぐるみを着た出演者に“文明を学ばせる”ようなシーンがいくつか描かれており、それが批判の的になっているようです。

未開の猿人類を調教しているように見えるのです。

ピアノを教える
・音楽を教える
・乗馬を教える
・電気を教える
・ビデオ・映画を教える
・旅道具を教える
・卵の立て方を教える

MVでは楽しく文明を伝えているような描写ではあるものの、ナポレオンの騎馬に敬礼している描写もあったことから「調教しているように見える」という声も上がっているようです。

炎上理由⑤人力車のシーンが奴隷労働を彷彿させる

また、猿の着ぐるみを着た出演者に人力車を引かせる様子も描かれており、物議を醸しています。

このシーンが「奴隷労働」を彷彿とさせるという声が上がっているのです。

お金を払うことで人力車に乗ることが出来るのが、文明社会では当たり前です。

しかし、MVにおいては「対価」=「金銭的価値」を支払っているという文脈は無いように感じられることから、奴隷に人力車を引かせているように見えてしまうのです。

「対価」=「金銭的価値」ではなく

「労働力の搾取」=「奴隷

を想起させてしまうのです。

炎上理由⑥人力車を引いているのが黒い類人猿

MVに登場する類人猿は、明るい茶色っぽいもの、黒っぽいものなどがいるのですが、人力車を引いているのは黒っぽい類人猿です。

こういったところが「人種差別」ではないのかと批判を受けているようです。

炎上理由⑦コカ・コーラとのタイアップ曲であった

この『コロンブス』という曲は最初から、コカ・コーラのCMキャンペーンありきで作られたものであろうという点が問題視されています。

曲の始まりはコカ・コーラの炭酸と思しき効果音。

歌詞には

「海原に流れる 炭酸の創造」 

「愛を飲み干したい 今日も」

「渇いたココロに注がれるような」

などのフレーズが踊ります。

こういった歌詞を見れば、曲を作り始める前にコカ・コーラとのタイアップが決まり、コカ・コーラという商品に合わせて曲が作られたと考えるのが自然でしょう。

もしかしたら、作詞作曲した大森元貴さんは『コロンブス』というタイトルも、あえてコカ・コーラが生まれたアメリカを意識してのことだったかもしれないと推察できます。

この曲をキャンペーンの主軸に据えていた日本コカ・コーラ社は広告代理店などと組み、曲の制作の進捗についても情報共有しながら広告戦略を練っていたと考えられます。そうであれば、問題のMVも担当者が早い段階でチェックしていたのでは…と邪推してしまいます。

日本コカ・コーラ社は米国コカ・コーラカンパニーの100%傘下にあり、社長のホルヘ・ガルドゥニョ氏はメキシコ出身です。

であれば、夏のキャンペーンソングのタイトルが『コロンブス』だと聞いた瞬間に「危険だ」「誤解を与えかねない」「変更すべきである」と気付くことは出来なかったのかと、非常に残念でなりません。

炎上理由⑧MVの監督が大森元貴であった

『コロンブス』のMVのPlanning DirectorにはMrs. GREEN APPLEの大森元貴さんが務められました。

これによって、MVのイメージの発案者や監督は大森元貴さんが行ったのではないかと見られています。

コロンブス」のMusic Videoを制作するにあたり、

・年代別の歴史上の人物

・類人猿

・ホームパーティー

・楽しげなMV

という主なキーワードを、初期構想として提案しました。

公式サイト

実際に、謝罪文の中では、初期構想を提案したことに言及しています。

類人猿を人に見立てたなどの意図は全く無く、ただただ年代の異なる生命がホームパーティーをするというイメージをしておりました。

しかしながら、意図とは異なる伝わり方もするかもしれないと思い、スタッフと確認し合い、事前に特殊メイクのニュアンス、衣装、演じ方のフォロー、監修をしていたつもりではおりましたが、そもそもの大きな題材として不快な思いをされた方に深くお詫び申し上げます。

決して差別的な内容にしたい、悲惨な歴史を肯定するものにしたいという意図はありませんでしたが、上記のキーワードが意図と異なる形で線で繋がった時に何を連想させるのか、あらゆる可能性を指摘して別軸の案まで至らなかった我々の配慮不足が何よりの原因です。

公式サイト

差別的意図はなかったことや悲惨な歴史を肯定する意図もなかったということでしたが、「コロンブス」について無知であり、配慮に欠けてしまったことで、Mrs. GREEN APPLE自体に批判が集まる結果になってしまったようです。

Tomoちん
Tomoちん

問題を認識し、迅速に公開を停止、自分の名前で謝罪する必要は確かにあったと思います。ただ、その失敗を「教養の欠如」「勉強不足」個人の問題で終わらせてしまうのには違和感を覚えます

今回、Mrs. GREEN APPLEは動画をすぐに公開停止し、大森元貴さんの名前で謝罪文も出し、失敗を認めています。筆者的にはやれるだけのことはやったように思えます。

大切なことは同じ過ちを繰り返さないために原因と対策(体制)を整えることではないでしょうか。

炎上理由⑨コカ・コーラ社の対応が無責任

『コロンブス』のMVが炎上すると、同曲をCMに起用していた日本コカ・コーラ社は即座にコメントを出しました。

弊社では、事前にミュージックビデオの内容に関しては把握をしておりません。コカ・コーラ社はいかなる差別も容認しておりません。今回の事態を遺憾に受け止めております。これは、我々が大切にしている価値とは異なるものです」

日本コカ・コーラ広報部
  1. (たまたま)Mrs. GREEN APPLEの曲をCMに起用してしまい、
  2. (知らないところで)Mrs. GREEN APPLE側が不適切なMVを作ってしまったので
  3. (即座に)CMを止めた

どこか他人事であり、被害者でもあるかのような印象も受けてしまいます。

コカ・コーラ社の責任について追求する声も上がり始めているようです。

炎上理由⑩差別要素があると言えない・気付かない体制

『コロンブス』という曲には、商品のキャンペーンを前提にアーティスト本人以外の多くの人が事前に触れていた可能性が高いでしょう。

しかし、実際にMVは公開されてしまいました。

今回の一番の問題は単にMVの表現だけでなく、「コロンブス」という名前を安易に使うという「歴史の認識」にまで及ぶものです。

こうした騒ぎになる前に警鐘を鳴らすことができた関係者は、アーティストの周りに多くいたはずです。

実際に、MVの撮影前には大森元貴さんはスタッフと確認し合い、事前に特殊メイクのニュアンス、衣装、演じ方のフォロー、監修をしていたと話しています。

どんな歴史にも表と裏があります。

特に多くの人の命が失われた歴史には必ず暗部があるはずです。

そのことを念頭に置き、歴史上の人物の名前を夏の曲やキャンペーンに使おうとしたこと自体が適切だったのでしょうか。

いちアーティスト任せにせず、関係各所がきちんとチェックする体制、そして少しでもおかしい箇所があればそれを言える雰囲気作り。そうしたことが、歴史との付き合い方を意識し、見つめ直すためにも必要なことだと思います。

「コロンブス」に対する世間やミセスファンの反応は?

SNS上では、今回の『コロンブス』のMV問題について、賛否両論で様々な意見で溢れています。

特にMrs. GREEN APPLEのファンからは様々な声が投稿されていますが、変わらず応援していくという姿勢の方が多いように見えます。

まとめ

今回はMrs. GREEN APPLEの新曲『コロンブス』が炎上した理由について、一体、何がイケなかったのか分かりやすく解説させていただきました。

色々調べてみて私個人の感想は、まず「2つの難しさ」を感じました。

1つ目は歴史的認識・解釈の二面性をしっかり理解することの難しさ、2つ目は過程より時に結果がすべてであることの難しさを感じました。

そして、同時に「2つの怖さ」も感じました。

1つ目は影響力のある有名人であればあるほど、ミスは許されず、多大な影響を及ぼすということの怖さ、2つ目は迅速な対応、謝罪を行うも未だ個人攻撃が続いているという怖さです。

個人的にはMrs. GREEN APPLEの謝罪文や炎上翌日の生音楽番組のパフォーマンスを見て、彼らを信じるに足りうると感じました!

大切なことは今回の炎上騒動から何を学び、二度と同じ過ちを繰り返さない体制をどう築いていくかということだと思いました。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。