2023年9月8日より開幕したラグビーW杯フランス大会。
テレビでも日本代表選手の動向やラグビーの試合を見る機会が増えてきたのではないでしょうか。ところで、ラグビーの日本代表の試合を見ていると外国人選手が多くて、初めて見る方には、日本人選手が少ないのではないかと感じる方もいるかと思います。
2023年W杯の日本代表選手のメンバーを見ても、外国出身の選手が多数選出されています。日本代表が注目される度に必ず話題になるのが、ラグビー日本代表の外国人問題です。「日本代表なのに外国人が多い」と一部では批判の対象にもなるようです。
これにはラグビー独特のルールが関係しているようです。
そこで今回は、なぜラグビー日本代表には外国人選手が多いのか、その理由について調べてみました!
ラグビー日本代表選手になる資格とは?
日本をはじめ各国の代表になるには、ワールドラグビー(国際統括団体)が定めた条件をクリアする必要があります。
下記の条件のうち1つでもクリアできれば、例え日本国籍を取得していなくても日本代表になることが出来ます。
①当該国(日本)で出生している ②両親、祖父母のうち1人が、当該国(日本)で出生している ③60ヶ月間継続して当該国(日本)を居住地としている ④累積で10年間当該国(日本)に居住している
この条件や規定は状況に併せて変更されることがあります。
最近ですと、新型コロナウィルスのパンデミックによる異常な混乱状況に対応するため、競技に関する規定第8条(国の代表チームでプレーする資格:居住年数による資格)の改定の延期が変更されました。
代表資格の居住年数条件は、2020年12月31日執行予定で「36ヵ月間」から「60ヵ月間」へ変更されました。新型コロナウイルスのパンデミックによる国際カレンダーに大きな混乱が生じ、プレーヤーへ大きな影響が及び、それを考慮した対策でした。
私自身、ラグビー日本代表選手の中に外国人選手が沢山いることを不思議に思っていました。他のスポーツでも外国出身の選手が日本の国籍を取得して代表になって活躍していますが、ラグビーは日本国籍を持っていない外国人選手も条件に1つでも当てはまれば、日本代表になることができるんですね!
これはラグビーというスポーツが多様性の有るダイバーシティグなスポーツであり、選手にとってはより多くのチャンスが開かれたものなんですね!
ラグビー代表資格の背景について
代表資格がなぜこのようになったのか諸説あるようですが、一説として歴史的な背景が関係しているようです。ラグビーはイングランド発祥のスポーツだけあり、このようになった背景は大英帝国時代にまで遡ります。
当時の大英帝国(イギリス)は世界中に植民地を広げていきます。イギリスの植民地だった国、関係の深かった国にも、イギリス人(移住者)からラグビーは伝えられ、「オーストラリア」「ニュージーランド」「南アフリカ」ではラグビーが盛んになったと言われます。
当然、広まった当初はイギリス人が代表の中心だったため、国籍で代表を選ぶと力が偏ってしまいます。そこで、その国(地域)でプレーする選手から代表を選ぶことになり、それが国際ルールとなっていきました。
ラグビーの日本代表は、「日本人の代表」ではなく、「日本でプレーする(日本協会に所属する)ラグビー選手の代表」と考えれば理解しやすいですね!
各国代表の海外出身者はどのくらいいる?
現在でもそのルールが受け継がれているラグビーですが、日本代表だけでなく他国の代表も海外出身者は多いようです。
1チーム31人のメンバー登録者数に対して、2011年&2015年のW杯における各チームの海外出身者数は下記の通りです。
チーム | W杯(2011年)外国出身選手数 | W杯(2015年)外国出身選手数 |
サモア | 15人 | 13人 |
アメリカ | 12人 | 9人 |
イタリア | 11人 | 9人 |
日本 | 10人 | 11人 |
トンガ | 9人 | 12人 |
イングランド | 8人 | 12人 |
オーストラリア | 7人 | 9人 |
スコットランド | 7人 | 11人 |
なぜ日本だけ海外出身者の選手が多く見るのか?その理由3選
理由①:「見た目」や「名前」
日本は、いくつか例外があるもののほとんど単一民族から成り立っており、外国人選手は「見た目」や「名前(ローマ字、カタカナ)」から判別出来ます。
一方で、日本人から見た場合、日本以外の他国に外国人選手がいても、「見た目」では同じに見えてしまい、海外では日本のように外国人選手がいないように感じてしまうのではないでしょうか。
そのため、日本だけ海外出身選手が多く感じる人が多いのではないかと思います。
理由②:外国人選手のイメージ
野球やサッカーからくる発想だとは思いますが「海外から来る選手=助っ人」というイメージがあり、“スポーツにおいて海外から来る選手は日本人とは別である”という考えに繋がっているのではないかと思われます。
理由③:ラグビーは「協会主義」である
スポーツ毎に代表選手の選定基準は異なるものの、「日本代表」は国(国籍)の代表というイメージを持っている方が多いように思います。
ラグビーは、「国籍主義」ではなく、所属する「協会主義」になります。
普通のスポーツは国の代表=その国の国籍の選手になります。これが国籍主義です。一方でラグビーは、それぞれの国にラグビー協会があります。ラグビーの代表はその国の協会代表という考えになります。つまり、ラグビー日本代表は日本協会の代表選手ということです。
ワールドベースボールクラシックに出場したラーズ・ヌートバー選手、バスケットボール日本代表のジョシュ・ホーキンソン選手など、大勢の日本人選手に混じって活躍する外国籍の選手の場合、常に注目され、多くの人から応援される傾向にあります。
言語の問題などを乗り越えて、日本人選手とコミュニケーションをはかり、日本のために貢献している姿が「健気」「心強い」といった印象があるように思います。
でも、これはスポーツ毎に代表選手の選出規定が異なるのが理由なんですね!
日本代表選手リーチ マイケルは日本人である
リーチマイケル選手は、ラグビーW杯 2011年の 第7回大会、2015年の 第8回大会、2019年の 第9回大会、今回の2023年の第10回大会の4大会に出場し、2015年、2019年の2大会でキャプテンを務めました。
今回は怪我の影響もあり、新キャプテンは姫野和樹選手が務めています。
リーチマイケル選手は強いリーダーシップで、ラグビー弱小国だった日本を 世界の強豪国にも勝てる強いチームへと引っぱり上げた立役者です。その存在はいてくれるだけで安心出来る、芯の強さが強くてカッコイイ選手ですよね。34歳とういう年齢が信じられない程に落ち着きがあり貫禄があります。
日本代表キャプテンとして有名な リーチマイケル選手は、2013年に帰化しているので日本人です。
日本代表の名キャプテンであるリーチマイケル選手は、出身国であるニュージーランド代表「オールブラックス」になることが夢で、実力的にも申し分なかったのに、愛する日本を選んでくれたことがとても感慨深いです。
“日本のラグビーを強くするために”、日本の学校に通い、歴史や文化を学び、国歌を覚え、日本のために命をかけて戦ってくれている姿は胸が熱くなります。
国籍に関係なく、その国(地域)のために心を1つに。「一人はみんなのために、みんなは一人のために(One for all All for one)」の精神を感じるのがラグビーの醍醐味ですね。
ラグビーは荒々しくぶつかり合い、肉体を酷使する一方で、仲間や相手チームを尊重し、国籍や民族に関係なく心を1つにプレーする潔さや温かさが根底にあります。
それが世界中で愛される理由だと思います。
2023年W杯試合スケジュールについて
1次リーグD組の日本はチリ、イングランド、サモア、アルゼンチンと順に対戦します。1次リーグ上位2チームが決勝トーナメントに進出し、決勝は10月28日。初戦の相手はW杯初出場となるチリで9月10日(日)20時からキックオフです。
◆予選プールD:VSチリ(2023年9月10日(日)20時〜) ◆予選プールD:VSイングランド(9月18日(祝)4時〜) ◆予選プールD:VSサモア(2023年9月28日(木)4時〜) ◆予選プールD:VSアルゼンチン(2023年10月8日(日)20時〜) 試合の結果ごとに「勝ち点」(マッチポイント)が与えられ、上位2チームが決勝トーナメントに進出! ◆準々決勝:2023年10月15日(日)、16日(月) ◆準決勝:2023年10月20日(金)、21日(土) ◆3位決定戦:2023年10月27日(金) ◆決勝戦:2023年10月28日(土)🏆
日本列島に熱狂を巻き起こした2019年W杯日本大会のベスト8を超える躍進が期待されます。世界ランキング14位の日本。D組もチームも競合揃いですが、今大会も1次リーグを突破してバスケットに続き、躍進を期待したいですね!
世界順位 | チーム |
1位 | アイルランド🇮🇪 |
2位 | 南アフリカ🇿🇦 |
3位 | フランス🇫🇷 |
4位 | ニュージーランド🇳🇿 |
5位 | スコットランド🏴 |
14位 | 日本🇯🇵 |
まとめ
なぜラグビー日本代表には外国人選手が多いのか、その理由について調べてみましたが、そこにはラグビーの歴史、伝統、誇り、全てを背負って闘う戦士たちがいました。
そこに出身地、言語、見た目なんて全く関係なくて、選手全員が日本のために頑張ってくれる大和魂を持った侍だと思いました。
日本人か外国人かで判断するのではなく、日本という国の代表として戦ってくれる代表選手をみんなで応援したくなりました。2019年の感動よ、再び。ラグビー日本代表選手の皆さんに大きなエールを送りたいですね!
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