年末年始を国内外で過ごす人や帰省する人で、飛行機を利用する機会が増えるこの師走に、衝撃的な飛行機事故が発生しました。
2024年12月29日、韓国の務安(ムアン)国際空港で発生した済州(チェジュ)航空が胴体着陸を試みたところ失敗して壁に衝突し、炎上しました。
乗客175人と乗務員6人、計181人が搭乗する中、生存が確認されたのはわずか2名(2024年12月29日現在)。
その2名が座っていた座席位置が「機体後部」であったことが注目されています。
本記事では、この生存者が座っていた座席の位置や、安全性に関する統計データを基に、航空機事故での生存率を高めるポイントについて掘り下げていきます。
済州(チェジュ)航空事故の概要
2024年12月29日、済州(チェジュ)航空のボーイング737-800型旅客機が務安空港で着陸に失敗し、外壁に衝突して炎上しました。
現時点で、事故の原因は車輪の不具合や「バードストライク」の可能性が指摘されています。
- 被害状況
事故により179人が死亡、生存者は2名のみ。 - 生存者の座席位置
生存者は機体後部の座席に座っていたことが確認されました。
事故機が空港の外壁に衝突する際、機体最後方の一部がもげ落ちたため、後方を担当していた客室乗務員の2名は奇跡的に助かりました。
【男性客室乗務員】
・左肩を骨折
・頭部負傷
・脈拍は正常
・歩行可能
・第9・第10胸椎、左側肩甲骨、左側第1・第10肋骨骨折
・頭蓋骨の外側部分の浮腫
・頭皮・額部分の裂傷など多発性外傷
・神経損傷による全身まひなどの後遺症が出る可能性がある
【女性客室乗務員】
・足首や頭などに負傷
・記憶障害
・血圧正常
・頭の右側から大量に出血(血管損傷)
・右足首の腫れ
あの状況で2名の生存者がいたことは奇跡的です。
しかし、負傷の状態を見るといかに悲惨な事故だったか痛感します。
なぜ後部座席の生存率が高いのか?
航空機事故において、後部座席の生存率が高い理由は以下の通りです。
①衝撃の緩和
墜落時、機体の前方が先に衝撃を受けることが多く、後部は比較的ダメージが少ない。
②燃料タンクとの距離
燃料タンクは主に翼の部分に設置されているため、火災の影響を受けにくい。
③非常口へのアクセス
非常口が後部にある場合、脱出の可能性が高まります。
統計データ
前方座席:38%
中央座席:39%
後部座席:32%
※後部中央座席はさらに低い28%というデータもあります。
前方:12G
中央:8G
後方:6G
生存者が取った行動とは?
航空機事故時、生存者がとった行動も生死を分ける要因となります。
以下は、専門家が推奨する生存率を高める行動です。
服装の選び方
長袖・長ズボン、燃えにくい素材(ウールやコットン)を着用
靴の選択
動きやすいスニーカーを着用することで脱出の妨げを防ぐ
非常口の確認
事前に非常口の位置を把握し、最寄りの出口への経路を意識しておく
過去の航空事故との比較
今回の事故は、過去の航空機事故とも類似点が見られます。
1985年 日航ジャンボ機事故
御巣鷹山墜落事故での生存者4名も後部座席に座っていたことが確認されています。
1994年 中華航空140便墜落事故
中華航空140便が名古屋空港への着陸進入中に墜落し、乗員乗客271人中264人が死亡しました。
7人の生存者の座席には両翼の近くだったという共通点がありました。
飛行機でもっとも重要な両翼の付け根は頑丈に作られています。
この事故では、両翼近くに座っていたことが助かった一つの要因だと当時言われていました。
これらのデータからも、後部座席が比較的安全とされる理由が浮き彫りになっています。
飛行機事故から学べること
旅客機の墜落事故は一度起こるとその被害のインパクトや死傷者の多さから、事故のニュースを目にすれば、飛行機恐怖症に陥る人が増えるのも無理もありません。
私も度々海外出張に行くので、こうした飛行機事故が起こると、正直飛行機に乗ることに恐怖を感じてしまいます。
では、飛行機の旅は本当に安全だと言えるのでしょうか?
今回の済州(チェジュ)航空事故は、航空機に搭乗する際の「座席選び」や「緊急時の準備」の重要性を改めて考えさせられる出来事となりました。
飛行機事故の確率は年々減少している
オランダの専門誌「航空輸送管理ジャーナル(JATM)」では、飛行機の安全性は世界的に年々向上し続けていると言っています。
飛行機事故で死亡する確率は、年々減少しています。
- 1968年~1977年:35万回の搭乗につき1回
- 2008年~2017年:790万回の搭乗につき1回
- 2018年~2022年:1370万回の搭乗につき1回
数字で見ると飛行機事故よりバイク事故に遭う事故率の高さに驚きです。
安全に関するアドバイス
・可能であれば後部座席を選ぶ。
・非常口に近い座席を確保する。
・非常時には慌てず、客室乗務員の指示に従う。
・シートベルトは常に正しく着用する。
まとめ
航空機事故は非常に稀な出来事ですが、もしもの時の備えが生存率を左右します。
今回の事故で救助された2名の生存者の行動や座席位置から、私たちも学ぶべきポイントが多くあります。
これを機に、フライト時の安全意識を高めていきたいものです。
また事故の原因をしっかり究明し、同じ悲劇が起こらない対策を講じてほしいものです。
最近のコメント