舞台でWキャストの橋本環奈と上白石萌音。「比較」を乗り越えた2人の絆とは

スタジオジブリの宮崎駿監督・脚本のアニメ映画「千と千尋の神隠し」が世界中の観客を魅了したのは、今から20年前以上のこと。「千と千尋の神隠し」は長編アニメ部門でアカデミー賞を受賞しました。

その傑作アニメがジョン・ケアード（代表作「レ・ミゼラブル」）の翻案・演出、そして東宝により舞台化され、2022年に日本全国で公演が行われました。人気アニメ作品であり、上白石萌音さん、橋本環奈さんという人気俳優のWキャストも話題となり、好評のうちにロングラン公演を達成し幕を閉じました。

本公演において、上演関係者一同が菊田一夫演劇大賞を受賞した他、上白石萌音さんは読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞しました。その勢いのまま、2023年8月には「千と千尋の神隠し」の名古屋・御園座にて再上演されました。

舞台経験が豊富の上白石萌音さんと初舞台となる橋本環奈さん。ネット上ではどうしても2人の演技について比較をされることが多く見られました。

そこで実際にどういった葛藤あったのか、どうやってそれを乗り越えて舞台を成功に導いたのかについて調べてみました。

「比較」や「格差」をどう乗り越えた？

橋本環奈さんは上白石萌音さんの言葉、“人物としてのカッコよさ”に何度も救われたそうです。

橋本環奈さんは舞台を振り返り「多々比較されていましたし、それを私たちは分かっていた。比較されてると分かった上で、お互いの良さを引き出したいと思っていた」と語っています。

周囲からは経験抱負な上白石萌音さんと「多々比較された」といい、橋本環奈さんはそのことを気にして苦悩もすることも多かったそうです。サバサバした性格でいつも笑顔で元気いっぱいの橋本環奈さんのイメージとはかけ離れますね。

そんな中、救われたのは上白石萌音さんの言葉だったようです。

お互い、色々と言われてること知っていたようですが、“どうせ知らないしな。うちらのこと”“気にすんな気にすんな”と意外にも、橋本環奈さんが言いそうなことを言って励ましてくれたようです。上白石萌音さんの男気ある言葉は、橋本環奈さんに勇気をくれたのでしょうね。

これまでの橋本環奈さんは、女優として「演じる」ことが楽しいと思えない時期があったり、女優としての評価は決して高くはなかったかもしれません。それでもコミカルからシリアスな役までどんな役にも懸命に挑戦し、結果を出してきたことも事実です。諦めず健気で頑張る姿は、多くの視聴者を魅了し、制作スタッフに“次も使いたい”と思わせるのでしょう。

舞台の大千秋楽で上白石萌音さんの代役を務めた橋本環奈さん。サプライズで上白石萌音さんがコメントを寄せた時には号泣（もはや嗚咽？）されていました。橋本環奈さんは自分がずっと「支えられている」側だと思っていたそうですが、それは上白石萌音さんも同じで立派に代役を務めた橋本環奈さんに「支えられた」と実感されたことと思います。

稽古、公演を通して2人が築き上げた信頼関係は強固で特別なものであると感じました。

上白石萌音が感動した橋本環奈の行動とは？

上白石萌音さんの通し稽古の際に、台本をめくりながら気づいたところを全部メモしてフィードバックをしたそうです。

舞台経験を数多く経験している上白石萌音さんでも、そんなこと今まで無かったらしく、橋本環奈さんの行動に感動したそうです。

稽古期間は助言し合ったり交換日記をしたりと絆を深め、お互いに「戦友」「家族」と表現しています。

Wキャストのため、練習では一緒に稽古を行うことができたものの本番になると同じ公演に出ることがなかった2人。そこでメッセージのやり取りをするために思いついたのが「交換日記」だったそうです。「今日の公演ではこの場面で笑いが起きたよ！」「今日はこういうお客様の反応だったよ！」など、日々の公演での細かい出来事を書いて残す交換日記をしていたそうです。

Wキャストということで、何かと「比較」されてしまうことがあったようですが、2人で一緒に１つの尋を作っていったのだということが分かりました。初舞台という緊張やプレッシャーに押し潰れそうになりながらも、人の見えないところで努力を続けた橋本環奈さん。そういった気持を汲み取りながら、橋本環奈さんを支え続けた上白石萌音さん。この2人のコンビネーションがあってこその舞台の成功だったのですね。

橋本環奈さんにとって、上白石萌音さんはどの共演者よりも特別な存在であることを口にしながら浮かべた涙が印象的でした。

名古屋公演が終演した今、交換日記は橋本環奈さんの手元にあるそうです。

川栄李奈さん、福地桃子さんが新たな千尋役として追加決定されましたが、個人的に出来ればこの交換日記を続けて欲しいなと思います。4人で作り上げる千尋も楽しみですね！

舞台「千と千尋の神隠し」とは

宮崎駿が監督を務めたスタジオジブリの名作映画「千と千尋の神隠し」。主人公の少女・千尋が引っ越し先に向かう途中、“八百万の神々の世界”へと迷い込む壮大なファンタジーを描いたこの物語は、日本のみならず世界中で愛され続けています。

2022年3月に舞台「千と千尋の神隠し」の初演が帝国劇場で開幕しました。翻案・演出は、ミュージカル「レ・ミゼラブル」オリジナル版の潤色・演出を担当した英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアード氏が務めました。

千尋役を橋本環奈さんと上白石萌音さんがWキャストで演じるなど、各方面から豪華なキャストが集結したことも大きな話題となりました。

そして舞台『千と千尋の神隠し』は再演、さらにはロンドン公演も決定しました。2024年4月30日から7月20日まで、ロンドン・ウェストエンドで初の海外公演を行うことが決定しています。

劇場は、約2300席の客席数を誇るウェストエンド最大級の劇場、ロンドン・コロシアム。日本人キャストによる日本語での海外上演としては演劇史上最大規模です。

2024年公演の千尋役は初演に引き続き橋本環奈さんと上白石萌音さんが続投する他、川栄李奈さんと福地桃子さんがオーディションを経て、新・千尋役として出演します。4人の千尋が舞台を盛り上げます！

Tomoちん

会場となりロンドン・コロシアムは、かつて英国王立オペラの本拠地として利用された時期もあるロンドンで最大規模の劇場です。ロンドン公演といえば、これまで世界的演出家として知られた蜷川幸雄や野田秀樹の作品があり、大竹しのぶさん、宮沢りえさん、松たか子さんといった女優たちが舞台に立っています。
今回、橋本環奈さん、上白石萌音さんもその仲間入りを果たすことになり、女優としてステップアップになることは間違いないですね。

https://twitter.com/sentochihiro_st/status/1686663129898639361?s=20

新・千尋役を演じるお2人のコメントです。

新しく千尋を演じさせていただくことになりました。去年の初演を観劇させてもらった時、細部にまでこだわった演出やキャストのみなさんの熱量を肌で感じ、とても感動したのを今でも覚えています。まさか自分が千尋を演じられるとは思ってもいなかったので、もうすでに緊張していますが、心強いカンパニーの皆さんにしっかりと食らいつき、最高の作品をお届けできるよう頑張りたいと思います！楽しみにしていただけたら嬉しいです。
川栄李奈コメント

この度、千尋役を務めさせていただくことになりました。映画「千と千尋の神隠し」は3歳の頃、4歳の兄と母にせがんで映画の初日に渋谷の映画館へ並んで観た記憶があります。奇妙だけれどなんだか惹きつけられる作品の力強さを幼心にも覚えています。来年3月帝国劇場から再スタートするという素晴らしいエネルギーと共に、素敵なカンパニーの皆さんと自分自身としっかり向き合い努めてまいります。宜しくお願い致します。
福地桃子コメント

舞台「千と千尋の神隠し」2024年公演キャストの予想は？

2023年8月に御園座で再演された名古屋公演のキャストを踏襲するのではないか？

千尋：橋本環奈、上白石萌音、川栄李奈、福地桃子(クアドラプルキャスト)
引っ越し先に向かう途中、八百万の神々の世界へと迷い込む少女。
人間の世界に戻るために、様々な出会いを経て奮闘する。

ハク：醍醐虎汰朗、三浦宏規(Wキャスト)
油屋で湯婆婆の下で働いている謎の少年。見知らぬ世界に迷い込んだ千尋が人間であることを隠したり、湯婆婆の下で働くためのアドバイスをしたりと陰ながら支える。

カオナシ：森山開次、小㞍健太、山野光(トリプルキャスト)
千尋に対して強い執着心を持ち、油屋に入り込む謎の男。
黒い影のような体に、白いお面をつけたような姿をしている。
金を手から出す力を持ち、飲み込んだ者の声でのみコミュニケーションが出来る。

リン＆千尋の母：華優希
リンは油屋で働く娘。口調は荒っぽいが面倒見がよく、油屋で働く先輩として千尋に仕事を教えている。
姉のように千尋を見守る。

釜爺：田口トモロヲ
油屋のボイラー室を取り仕切っている黒眼鏡をかけた老人。
伸縮する6本の腕を操る蜘蛛のような姿で、 薬湯の生薬を調合している。
厳しくも優しく千尋を助ける。

湯婆婆＆銭婆：夏木マリ、朴璐美(Wキャスト)
湯婆婆は油屋を経営し、相手の名前を奪うことで支配する魔女。
強欲で老獪だが一人息子を溺愛している。
銭婆は湯婆婆の双子の姉。声から容姿、服装、髪型まで湯婆婆と瓜二つだが、性格は正反対。
心穏やかで思慮深い。

兄役＆千尋の父…堀部圭亮
父役：伊藤俊彦
青蛙：おばたのお兄さん