2023年9月30日、兵庫県宝塚市のマンションに住む宝塚歌劇団の劇団員である有愛きい(ありあきい)さんが、敷地内で死亡しているのが見つかりました。
現場の状況などから自殺とみられています。
現役の劇団員の自殺というセンセーショナルな事件は宝塚ファンのみならず、世間の衝撃は大きく、ご遺族やファンの悲しみは深いものです。
先日、有愛きいさんの遺族は宝塚歌劇団に謝罪と補償を求めることを明らかにしました。
同時に宝塚歌劇団側は外部弁護士による調査チームによる調査報告書を受領し、その報告は近日中に公開されるようです。
何が有愛きいさんを追いつめたのか。
「清く 正しく 美しく」をモットーとする宝塚の舞台裏に潜む「魔物」の正体とは―。何が「事実」で何が「嘘」なのか、今後明かされるであろう事実や劇団の対応に注目が集まっています。
そこで、今回は有愛きいさんの自殺の原因について詳しく調べてみました。
この悲しい事件がどうして起こってしまったのか、ことの事実を宝塚歌劇団の隠蔽したのか、報道内容が間違っているのか、核心に迫ってみたいと思います。
有愛きいが自殺。マンション18階から転落死
発端は2月に「週刊文春」で報じられた“劇団内のいじめ”問題です。
上級生からの慢性的ないじめが行われていたり、高温のヘアアイロンを額に押し付け、痕が残るほどの火傷を負ったという内容でした。
この報道に対して、宝塚歌劇団側は「報道の内容が全くの事実無根であることを当事者全員から確認している。事実と異なる記事掲載を止めるよう強く要望してきたが、今回もまた事実に反する内容をあたかも真実であるかのように報道された」と回答しています。
しかし!
約半年後にいじめ被害を受けていた下級生とされる娘役の有愛きいさんが自宅マンションから飛び降り自殺を図り亡くなってしまいました。
10月7日の宝塚歌劇団の会見では「内部調査の結果いじめはなかった。誤ってヘアアイロンが当たってしまったということはあったが、非常に歪曲した表現で書かれた」と否定しています。
2月の報道を受けて、もっと真摯に向き合っていたら、このような悲惨な結果を招くことはなかったのではないか…防ぐことができたのではないのかと疑念を抱いてしまいます。
自殺の原因は?
報道があったように、有愛きいさんの自殺はいじめが原因だったのでしょうか。
下記の2つが主な原因と見られています。
- 長時間労働による過労
- 上級生によるパワハラ
原因①長時間労働による過労
8月16日からは、9月29日の宙組本公演に向けた稽古が始まりました。弁護士がLINEの記録などを調べたところ、亡くなる前の1ヶ月間の総労働時間は400時間を超えていました。
これは時間外労働も国の精神障害の労災認定基準(160時間)を上回る277時間に達しています。
8月16日~9月29日の間、休日は6日間しかなく、その貴重な休日も準備に追われていたようです。
睡眠も1日3時間しか取れない異常な生活が約1ヶ月半も続いていたようです。
亡くなる前日に有愛きいさんは母親に
精神的に崩壊している…
というメッセージを送っていたそうです。
有愛きいさんが所属する宙組の公演「PAGAD」が初日を迎えたのは、死の前日である9月29日。
その日、有愛きいさんは普段と変わらず舞台に立ち、帰宅したそうです。
しかし、翌日、有愛きいさんはマンションから身を投げてしまい25年という短い命を閉じてしまいました。
原因②上級生によるパワハラ
2021年8月に上級生からヘアアイロンを額に押し当てられてやけどを負っています。
ただし、宝塚歌劇団側は「報道の内容が全くの事実無根」とこの件については認めていません。
2023年、研究科7年以下の劇団員で演じる「新人公演」で、下級生に対する責任者のリーダーになった有愛きいさん。
複数の上級生から、稽古中に呼び出され罵声を浴びせられたり、集団リンチのような目にあっていたと言われています。
下級生の不手際は、すべてお前の責任だ
マインドが足りない。マインドがないのか!
この嘘つきが!嘘つき野郎
宙組には元々同期は8人いましたが、退団や組替えなどで2人だけになります。
本来、有愛きいさんは2023年夏に退団する予定でしたが、同期2名の退団の意向を知り、新人公演のリーダーとしての責任感から、来年の春に延期せざるを得なくなったそうです。
長時間労働による過労と睡眠不足で、心身共に疲れ果てていく有愛きいさんの変化に家族は何度も、「行くな」「辞めろ」と諭したそうですが、「そんなことをしたら上級生に何を言われるか、何をされるかわからない、そんなことをしたらもう怖くて劇団には一生行けない」と言っていたそうです。
自分自身の為ではなく、自分が辞めたら1人になってしまう同期の為、そして下級生の為に必死に堪えていた様子が遺族によって明かされています。
有愛きいさんはとても責任感の強い方だったのですね。
上級生による指導の範囲を逸脱したパワハラというべき言動が繰り返されていたことが、自殺の一因となったのかもしれません。
ヘアアイロン事件やパワハラの主犯は誰?
注;本記事は、「週刊文春」で掲載された記事を元に推察や解釈を加えております。事実と異なる場合がある旨、ご理解ご了承下さい。
「週刊文春」の記事ネタは、宙組の現役生からのリークだとされています。
※2023年11月11日現在、宝塚歌劇団の調査報告はまだ発表前のため事実がどうかは分かりません。
◆松風輝(宙組組長)
◆芹香斗亜(宙組トップスター)
◆花菱りず
◆優希しおん
※宝塚歌劇団側は事実を否定しています。
◆天彩峰里
この中で、優希しおんさんは2023年12月24日付で退団を発表、 天彩峰里さんは2023年12月25日付で月組へ組替えすることが決まっています。
この人事異動や退団は事件の影響によるものではないか、そういった見方もあるようです。
有愛きいのプロフィール
亡くなった宝塚歌劇団の宙組に所属する有愛きいさんはどんな女性だったのでしょうか。
姉妹でタカラジェンヌとなった有愛きいさん、一禾あおさん。ご両親が自慢の娘だったでしょうね。ツーショット写真の有愛きいさんの笑顔がとても素敵です。
名前:有愛きい(ありあきい)
本名:井上奈美(いのうえなみ)
生年月日:1998年4月22日
年齢:25歳
出身地:京都府京都市
身長:164cm
家族:一禾あお(いちかあお)…雪組男役
彼女は1998年、京都市で140年以上続く由緒ある漬物屋に双子の長女として生まれました。
2015年、宝塚音楽学校に入学。
宝塚歌劇団103期生は、2015年の音楽学校の受験者数は1063人のうち合格者40人、競争倍率26.6倍。この狭き門をくぐった優秀な40名のうちの1人でした。
彼女の双子の妹は1期上の102期生として入団した雪組の男役である一禾あおさんです。
姉妹仲は良く、普段からお互い悩み事を相談していたそうです。
最近は父親が所有するマンションに2人で暮らしていたそうです。
宝塚歌劇団の悪しき「伝統」「慣習」とは?
予科事(よかごと)とは?
予科生(下級生)に課せられるお作法で、不文律=明文化されていないしきたりや暗黙の了解のルールのこと
宝塚音楽学校内には長年における“慣習”があります。
- 阪急電車へのあいさつ…阪急電車から降りた際、ホームに立って電車に対してお辞儀をする
- 予科生は本科生の前では、眉間にシワを寄せる“予科顔”をする
- 校内清掃の場所と方法は本科生から一対一で指導を受ける
とにかく予科生(下級生)は徹底的に本科生(上級生)に“しごかれる”システムになっているのです。
ハラスメントに厳しくなってきた昨今においては、これらの習慣が徐々に廃止になっています。
そのきっかけは、予科生に体調不良を訴える子が続いたことでした。予科生は、本科生の指示で、毎晩、レポートや反省文を書かされていて、その量が多ければ多いほど認めてもらえるという事実が校内調査で明らかになりました。
こういった予科事は、パワハラやいじめの下地となっていきます。
閉鎖的なムラ社会においては、こういった時代錯誤の悪しき「伝統」「慣習」は、時代や価値観の変化に合わせて上手く昇華せずに置き去りにされてしまったケースもあるのでしょう。
今回の有愛きいさんの自殺は、こういった事実が露呈した形になってしましました。
しかし、自らの生命を絶たせるような「伝統」や「慣習」などあるのでしょうか。
故ジャニー喜多川氏の性加害、自衛隊、歌舞伎界(市川猿之助氏のパワハラ騒動など)など、日本の芸能界や特殊な職場における、あまりに歪んだ「伝統」や「慣習」は、徹底的に見直されるべきではないのでしょうか。
まとめ
今回は有愛きいさんの自殺の原因について詳しく調べてみました。
長時間労働による過労や度重なる上級生からのパワハラによる心身の健康を奪われたことに理由がありそうです。
遺族らは宝塚歌劇団や阪急電鉄に対し、事実関係の公表や責任を認めて謝罪することなどを求めています。これから劇団からの調査報告が明らかになるので、要注目です。
もう2度と同じ悲劇を繰り返さないためには「事実を知る」ことがスタートになります。真摯に対応する考えを示している劇団からの正式な発表を待ちたいと思います。
つい先日、月組の公演を観てきましたが、久しぶりの宝塚観劇はとても感動しました。
特に急遽代役を立てての公演だったので、公演を空けることなく続ける大変さや、トップのスター性や、クオリティーの高い歌唱力や演技力など、どれを取っても素晴らしく、夢と感動をいただきました。
「清く、正しく、美しく」の宝塚歌劇団としての初心を忘れずに、これからも多くの人に多くの感動を届けて欲しいものです。
改めまして、有愛きいさんのご冥福をお祈り申し上げます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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